英語学習というと、受験勉強や若手~中堅のビジネスパーソンがキャリアアップのために行うもの、とイメージする人が多いと思います。
しかし近年、50代以上のミドルシニア・シニア世代で英語を勉強する人が増えていることをご存じでしょうか?
それぞれの目標にむかって、イキイキと学習に取り組んでいる姿が印象に残っています!
英語を勉強することは、単に実用的なメリットだけでなく、より豊かな人生につながる効果も期待できるのです。
そこで本記事では、英語の勉強を始めてみたいミドルシニア・シニア世代にむけて、以下の3点を解説します!
- 50代以上のミドルシニア・シニア世代が英語を学ぶメリット
- ミドルシニア・シニア世代にオススメする英語学習法
- 英語学習初心者が挫折しないためのポイント
本記事を読むことで、英語学習に対する不安が解消され、前向きに学習に取り組めるようになりますよ!
・30代。英語カウンセラー
・カナダ在住経験がある帰国子女
・英語教育に10年以上携わる
・教えた生徒は2000名以上
・元中学・高校英語教師
・塾講師、英会話教室運営の経験もあり
ミドルシニア・シニア世代が英語を学ぶ3つのメリット
50代以上のミドルシニア・シニア世代が英語学習に取り組みことにより、以下のメリットがあります。
- 第二のキャリアを築くことができる
- 自己成長や充実感を得ることができる
- 健康維持、脳の活性化が期待できる
1つずつ解説します!
①第二のキャリアを築くことができる
本記事では、第二の人生を「人生の大きな節目を迎えた人が考える”第二の人生における職業”や、”その後の生活”」と定義しています。
定年を間近に控え、
「仕事以外にやることがない」
「趣味はあるけど、1人でやることなので、社会とのつながりが絶たれそうで不安…」
と感じている方もいるでしょう。
そのような方は、英語を学ぶことをオススメします。
私が後ほど紹介する学習法であれば、「一生取り組める趣味をもつこと」も、「老後も社会とのつながりをもつこと」も可能。
また、英語を学ぶことは、単に社会とのつながりをもつだけでなく、「人の役に立ちたい!」と考えている方にもオススメ。
英語を活かした仕事やボランティアとして、外国人向けの観光ガイドの仕事があります。
インバウンド(訪日外国人)の回復により、シニア世代が各地の観光地ガイドとして活躍している姿が注目されています。
(参考:外国人の観光ガイドはおまかせ!シニアが各地で活躍 日本経済新聞、2023年11月29日)
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その他、英語の習得状況によっては翻訳などの仕事も行うことができるでしょう。
英語学習を通じて第二のキャリアを築くことは、コミュニティに所属している喜びや、社会や人の役に立っているという生きがいにつながります。
②自己成長や充実感を得ることができる
英語を勉強することで、今までできなかったことができるようになる喜びを味わうことができたり、新たな発見をしたりすることができます。
英語学習を通じて身についた力を発揮することで、例えば、
「海外の新聞や情報誌に書かれている内容を理解することができた!」
「ニュースや動画サイトで流れてくる英語を聞き取れるようになった!」
など、できなかったことができるようになる喜びを実感することができ、人生の楽しみにつながります。
その他にも、
「海外旅行で、現地の人と交流することで、ガイドには載っていない、地元ならではの場所を知ることができた!」
「外国人と自国の歴史や文化について話すことで、お互いの国の理解が深まったほか、自分の国の良さを再発見することができた!」
といった、異なる文化・価値観をもつ人との交流により、今まで知らなかった、新しい発見をすることができます。
外国人講師も参加しており、50代以上の生徒さんも、習った英語を使って交流を楽しんでいましたよ!
英語学習に取り組むことにより、「できないことができるようになった!」と自己成長を感じたり、「視野が広がった!」と充実感を感じたりすることができるため、人生をより前向きに過ごしたい人にはオススメです。
③健康維持・脳の活性化が期待できる
英語を学習することにより、健康の維持向上、脳の活性化が期待できます。
アメリカ・ノースウエスタン大学教授である心理言語学者のビオリカ・マリアン氏は、複数の言語を習得していることが、脳機能にどのような影響を与えるか研究しました。
マルチリンガルを対象にした神経科学の研究からさまざまなことがわかってきたが、最近の発見の中で特筆すべきは、複数の言語を話すことは、アルツハイマー病やその他の認知症の発症を平均して4年から6年遅らせるというものだろう。
(引用:ビオリカ・マリアン(2023)『言語の力 「思考・価値観・感情」なぜ新しい言語を持つと世界が変わるのか?』KADOKAWA)
マリアン氏の研究によると、2つ以上の言語を習得している人は、言語ごとの単語や記憶、体験が脳に蓄積されるため、神経の通り道がたくさん形成されます。
もちろん認知症自体を避けることはできませんが、1つの言語のみ習得している人に比べ、認知症による脳機能低下を軽減することができると述べています。
人生100年時代と言われている現在、日本人の平均寿命は男女ともに80歳を超えています。
一方、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」である健康寿命は、男性でおよそ73歳、女性でおよそ75歳。
(参考:厚生労働省e-ヘルスネット「平均寿命と健康寿命」)
老後を自分らしく、活き活きと過ごすには、平均寿命と健康寿命の差を縮めていくための取り組みが大切です。
英語を勉強することは、認知機能の維持向上に役立つため、オススメの選択肢といえるでしょう。
ミドルシニア・シニア世代にオススメの英語学習法5選
結論、ミドルシニア・シニア世代の英語学習では、「交流」を意識した学習に取り組むことをオススメします。
書籍や学習教材で勉強する(受験勉強のように、とにかくインプットに重点を置く)方法もありますが、個人的にあまりオススメできません。
もちろん語彙力が多いこと、文法知識が多いことに越したことはありませんし、補助的に書籍を用いることは良いことだと思います。
しかし、やるからには完璧に!と意気込むあまり、「十分にインプット出来てからスピーキング力を高めよう」と考えていると、いつまでたっても英語を話せるようにはなりません。
そればかりか、途中で目的を見失ってしまい、挫折してしまう恐れもあります。
一方、スピーキングを中心に行う英語学習は、不安はあるものの、適切なサービスを利用することで、全くの初学者でも無理なく、確実に英語の力を伸ばしていくことができるのです。
何より、英語力は、「単語を聞き取れること・単語を発音できること」により、加速度的に上達していきます。
以上の理由から、個人的には、「交流しながら、インプットと同時にアウトプットしていく勉強方法(スピーキング)」をオススメしています!
交流メインの英語学習の場合、学習のプロセスとしては以下の通りです。
- 英語の”型”を身に付ける(例:自己紹介の仕方、○○について、相手に質問する方法、相手の話に対するリアクション など)
- 身に付けた”型”を使って、相手との会話を楽しむ
- ”型”を応用し、他の話題について話してみたり、別の言い回しを覚えたりする
↑の考え方は、リーディングの向上にも応用できますので、是非意識してみてください。
その効果は、私が高校教師時代に実証済みです(1年間で模試偏差値が15上がる、高2で英検準1級に一発合格する等)。
ここからは、上記のポイントを踏まえ、学習媒体別の特徴や選びかたを紹介していきます!
①メディア(Youtube等)を活用する
「まずは費用をかけず、手軽に英語の学習に取り組みたい!」と考えている方にオススメです。
今や、誰でも手軽に情報を入手できる時代。
Youtube上で、「シニア 英会話 勉強」などと検索すると、膨大な数の動画がヒットします。
検索結果に出てきた動画やチャンネル(作成者が作成した動画を投稿する場所)のうち、以下を基準に選んでみましょう。
- 自己紹介の仕方や日常会話の場面練習など、初心者にとってわかりやすい動画が多数投稿されているか
- 【重要】ロードマップ(学習の進め方)が準備されているか
- 【あれば尚可】オンラインコミュニティやオフ会など、交流の場が設けられているチャンネルか
特に「ロードマップ」があるかどうかは重要です。
ロードマップがない場合、高確率で「何を、どの順番で学習すればいいのかわからない」状態になり、学習効果が期待できません。
無料で手軽なため、まずは気軽に始めたい人にはオススメであるものの、情報を自分で取捨選択しなければならないため、Youtubeのみで学習することは、やや難易度が高いといえます。
「3か月で英語がペラペラになる方法教えます!」などの宣伝文句で自作教材に誘導する投稿者もいるので、安易に資料請求や無料相談を申込まないようにしましょう。
第一、英語が3か月、6か月などの短期間でペラペラになることはまずあり得ません。
もし動画教材を利用したいのであれば、大手英語教室が配信しているサービスを利用するほうが無難です。
なお、動画の視聴自体は無料で、一切費用は掛かりませんので安心してくださいね。
②英会話コミュニティに参加する
数こそ少ないものの、地域の英会話コミュニティに参加する方法もオススメです。
英会話コミュニティは、インターネットで検索のほか、地域の広報誌や公民館のチラシなどで情報を得る方法が一般的です。
参加にあたっては、以下の点を確認すると良いでしょう。
- コミュニティの目的【例:日常会話を楽しむ、特定のテーマについてディスカッションする など】
- 参加資格【初心者でも参加可能か、必要な英語レベル など】
- 講師やファシリテーター(進行役)の情報【ネイティブか日本人か】
- 料金等
③英会話スクールを利用する
費用こそ掛かりますが、英語の学習として最も確実な方法です。
経験豊富な講師の指導により、段階を踏んで確実にステップアップできるほか、パーティーなどのイベントで交流の場を設けているスクールも多く、モチベーションを保ちながら英語学習に取り組むことができるでしょう。
英会話スクールは、大まかに以下の種類に分類できます。
- 通学型スクール :昔ながらの、教室に通学して学習するタイプ。近所からスクール選ぶことが多く、地域によっては選択肢が少ない等のデメリットがある。
- オンライン型スクール :インターネット上で講師と学習を進めるタイプ。全国のスクールから自分に合ったものを選ぶことができる。通学型より安価な場合が多い。
- ハイブリット型スクール :通学型とオンライン型を併用するタイプ。自分の生活に合わせ、柔軟な学習方法を選ぶことができる。
なお、スクール選びにあたっては、目的やレベルなど、自分に合ったスクールかどうか必ず確認してください。
「思っていたのと違う」「私にはレベルが高すぎる」など、事前に十分に調べなかったことが原因でミスマッチが起きてしまうケースも見聞きしてきました。
具体的には、以下の点を確認すると良いでしょう。
- 講師の属性:ネイティブ(英国・米国・カナダ・濠洲・その他)、非ネイティブ(日本人)
※講師の出身国によって発音が異なるほか、言い回しも異なる - 自分に合ったレベルか:受講目的をしっかり伝え、目標に対しどのようなサービスを受けられるか確認
- 授業のサポート体制:どのような教材を選ぶのか、進め方はどうか、自宅学習に対するアドバイスはあるか
- 欠席時のフォローアップ体制
近年は英会話アプリも進化している
最近はAI(人工知能)の発達に伴い、英会話アプリを使って英語学習に取り組む人も増えています。
英会話アプリの中でも注目されている特徴は、「AIが英語を聞き取って、文法上の誤りを指摘してくれたり、最適な言い回しを教えてくれる」こと。
英語学習のインフルエンサーとして有名なバイリンガール英会話さんの動画が参考になりますので、気になる方は↓の動画を再生してみてください!
なお、交流機能は現状見当たらないので、あくまで英語学習の補助的位置づけと考えた方がいいでしょう。
英語初心者が挫折しないためのポイント
英語学習は”積み上げ型”です。
例えば、英文法を例に説明すると、中学校で一通りのルールを覚えた後、高校ではもう一度中学のルールを”文の構造”に注目しながら理解を深めていきます。
常に新しいことを行う、というよりは、「繰り返しながら深めていく」という作業を行うので、根気が必要です(もちろん、学ぼうと思うと、学習範囲自体果てしなく広いのですが)。
したがって、英語を身に付けるためには、年単位のスパンで学習に取り組んでいく必要があることを覚えておきましょう。
学習が長期化することで避けて通れないのは、「モチベーションの低下」です。
そこでここからは、英語学習のモチベーション低下を防ぐ、3つのポイントを説明していきます!
①小さな目標を積み重ねていく
英語学習で挫折しないためには、スモールステップ(学習段階に合った、小さな目標をゴールに向かうように設定すること)を意識して目標を設定することが大切です。
大きな目標に向かって一気に進もうとすると、途中で挫折する可能性が高くなります。
例えば、「1年で英語がペラペラになる」というゴールを設定することは良いのですが、そのために具体的に何をすれば良いのかわかっていなければ、ゴールの達成は難しいでしょう。
そこで、スモールステップを取り入れた学習が有効です。
具体的には、「毎日5分間英語のニュースを見る」「1週間に10個の英単語を覚える」といった小さな目標を設定します。
これらの目標は達成しやすく、日々の努力を積み重ねることで自信がつくため、次のステップへ進む意欲も高まります。
スモールステップでの学習は、短期間で達成感を得られるため、モチベーションを維持しやすいという利点があります。
また、小さな目標を達成することで、自分の進捗を具体的に把握でき、学習の方向性も見えやすくなります。
例えば、日常会話のフレーズを1週間に5つ覚えるといった目標を設定し、達成することで、「今日はこれだけできた」という成功体験を積むことができます。
このように、スモールステップで設定した目標を一つ一つクリアすることで、最終的には大きな目標達成につながります。
小さな成功が積み重なることで、学習に対するモチベーションが維持されやすくなり、挫折のリスク減少につながるでしょう。
②アウトプットの場を作る
本記事で繰り返し伝えていることですが、英語を学ぶにあたり、アウトプットの場はマストです。
英語はただ勉強するだけではなく、音として聞いたり、声に出していくことで学習効果が加速するもの。
また、アウトプットの場を持つことで、学習の進み具合を確認し、弱点とその対策を考えることができます。
例えば、私がオススメした英会話スクールでは、実際に英語を聞く、話す、書くといった活動がメイン。
実践的な活動を通じて経験を積むことで、英語の力が総合的に育まれます。
また、英語でのコミュニケーションは、自信を持って話す練習にもなるため、自然な言い回しや発音が身につきやすくなります。
英会話スクールのようなアウトプットの場があることにより、より効率的に英語スキルの向上が期待できるでしょう。
③仲間を見つける
英語に限らず、学習を継続するにあたり、仲間の存在は大きいです。
一人で学習を続けるのは孤独感があり、モチベーションの維持が難しいことがありますが、仲間がいれば励まし合い、情報を共有することができます。
仲間との交流によりモチベーションの低下を防ぎ、学習の楽しさを実感しやすくなるでしょう。
仲間を見つける方法としては、上であげた方法のほか、「SNSで英語学習に取り組んでいる人をフォローする」という方法もあります。
日々の取り組みや疑問点をSNSで発信することにより、仲間からのアドバイスや励ましのコメントをもらうことができます。
また、限られた文字数で学習の進捗を発信するということは、良質なアウトプットにも役立つはずです。
いまやオンライン上で気軽に他人とつながることができる時代です。
仲間との交流を楽しみながら、学習効果を最大化していきましょう。
英語を学んでポジティブな未来を手に入れよう!|まとめ
いかがでしたでしょうか?
1年半カナダに在住した経験があり、5回の海外旅行・研修を経験している私としては、
「英語を学ぶことは、自分の視野を広げてくれる素晴らしい手段だ!」と自信をもって言えます。
一朝一夕で身に付くものではないため、年単位での学習計画が必要ですが、その先に見える景色はこれまでとは違った、素晴らしいものでしょう。
最後に、英語を学ぶメリットと、私がオススメする英語学習の流れをまとめておきます。
- 第2のキャリアを築くことができる:シニアが観光ガイドとして活躍しているなど、社会や人の役に立つ活動がやりがいにつながる
- 自己成長や充実感につながる:今までできなかったことができるようになる喜び、新たな発見を通じ、より前向きな人生を送ることができる
- 健康維持・脳の活性化が期待できる:2か国語以上話せる人は、1か国語のみ話せる人より認知症発症を遅らせることができるほか、脳機能低下を軽減できる
- 英語の”型”を身に付ける(例:自己紹介の仕方、○○について、相手に質問する方法、相手の話に対するリアクション など)
- 身に付けた”型”を使って、相手との会話を楽しむ
- ”型”を応用し、他の話題について話してみたり、別の言い回しを覚えたりする